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(第2回)令和3年度の税制改正大綱:スキャナ保存
最終更新日:2021年02月15日

前回に引き続き、令和3年度の税制改正大綱の電子帳簿保存制度の見直しのうち、スキャナ保存について取り上げたいと思います。

過去の記事はこちら

【書籍】『詳説 電子帳簿保存法 実務のポイント』税務研究会出版局(2020年)

【税務】(第1回)令和2年度の税制改正大綱:帳簿のデータ保存

現行のスキャナ保存の制度は、全てにおいてハードルが高く、どうやっても適用できる気がしない制度です。

が、令和3年度の税制改正大綱を読んでいると、これは!これは!スキャナ保存いける!!という予感がしておりますので、ぜひとも紹介したいと思います。

一時的に一気に在宅ワークに振れて業務をシステム化したものの、どうしてもシステムの状況が整わず、紙の書類を交換したり送付する方が早い部分があるというのが実情だったりもします。

現行の堅いスキャナ保存制度を運用しようとすると、どうしても紙の書類を定期的な検査が終了するまで決まった場所に保管する必要があったり、3日以内にタイムスタンプを押したりと、そもそも紙の書類のやりとりが遅くなることも出てきている状況で社内の体制も確保する必要があり、コロナ禍以前にスキャナ保存制度を導入していた会社では、スキャナ制度自体が重い足かせになっていることもあるような気がします。

恐らく、スキャナ保存制度を導入している会社ほど困ったこともあり、急ピッチで柔軟な制度にする必要がでてきたのではないでしょうか。

この緩和のおかげで、既にスキャナ保存制度を導入している会社のみならず、かなり小規模の事業者にとってみても導入しやすい制度になりそうです。

以下、現行の制度を修正してみてみます。

  • 税務署へ申請手続を行う。
  • 書類の受領者は、書類に自署を行う。
  • □書類をスキャンして入力事項を確認したら、タイムスタンプを押す(受領者自らスキャンする場合受領した日から概ね3営業日最長2か月以内。)
  • □スキャンデータの訂正と削除の履歴を確認できる状態にする。
  • (新設)スキャンデータの訂正と削除の履歴を確認できるクラウド等に2か月以内に格納する場合には、タイムスタンプの付与は不要。
  • □関連する仕訳データとスキャンデータが紐づけられている。
  • □検索機能の確保ができている。(検索項目を取引等の年月日、取引金額及び取引先に限定することとなった)
  • 定期的な検査を行うまでは、原本(紙書類)も保管する。
  • 書類受領者、スキャニング、スキャンデータ確認者、定期検査担当者間の牽制が必要。

なんということでしょう。

一番問題だった、内部牽制や定期的な検査がなくなりそうではないですか!

というわけで、1人で事業をやっている場合にもスキャンシステムさえきっちりしていれば、税務署への申請もなくスキャナ保存制度を使うことができるようになりそうです。

最近では、スキャナ保存制度に対応したクラウドサービスもたくさん出てきています。こちらについても帳簿のデータ保存と同様、導入時にどのベンダーのサービスを使うか慎重に決めていく必要があると思いますが、もう既に会計ソフトを使っている人にとってみれば、会計ソフトと一緒にスキャナサービスも提供しているベンダーが多いので、そのままサービスの幅を広げるだけで使えるようになると思います。

次回は、電子取引データ保存制度について取り上げたいと思います。

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