個人事業主が開業して、しばらく免税事業者として行くつもりでしたが、やっぱり、インボイス発行事業者になりたい!と思ったとき…
登録申請書の「登録希望日」にいつって書きます?
具体的には、こんなパターンです。
- □令和6年4月開業として「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出
- □令和6年2月・3月に開業準備行為で多額の支出あり
- □令和6年8月に、やっぱりインボイス発行事業者になりたい!と考えた
免税事業者がインボイス発行事業者になる場合、色々な特例が用意されていますが、この「登録希望日」の制度もかなり優遇された措置ではないでしょうか。
Q&A問7を見てみましょう。
- 問7 免税事業者が令和5年 10 月1日から令和 11 年9月 30 日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合の取扱いについて教えてください。また、この場合、いつから課税事業者となりますか
- 【答】
- 免税事業者が登録を受けるためには、…令和5年 10 月1日から令和 11 年9月 30 日までの日の属する課税期間中において、令和5年 10 月1日後に登録を受ける場合には、適格請求書発行事業者の登録申請書に登録希望日(提出日から 15 日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載することで、その登録希望日から課税事業者となる経過措置が設けられています(28 年改正法附則 44④、改正令附則 15②、基通21-1-1)。
- したがって、この経過措置の適用を受けることとなる場合は、登録希望日から課税事業者となり…[ます。]
つまり、登録希望日以降について消費税の計算をすればよいということになります。
一方、開業した年については、次のような登録時期の特例があります。(Q&A 問11)
- 問 11 新たに設立した法人が事業開始(設立)と同時に適格請求書発行事業者の登録を受けることはできますか。
- 【答】
- …新たに設立された法人が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を、事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出した場合において、税務署長により適格請求書発行事業者登録簿への登載が行われたときは、その課税期間の初日に登録を受けたものとみなされます(以下「新たに設立された法人等の登録時期の特例」といいます。)(消令 70 の4、消規 26 の4、基通1-4-7、1-4-8)。
- したがって、新たに設立された法人が免税事業者である場合、事業開始(設立)時から、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、設立後、その課税期間の末日までに、課税選択届出書と登録申請書を併せて提出することが必要です。
- (参考) …個人事業者の新規開業等の場合も同様です。…
つまり、本来であれば、インボイス発行事業者になりたい年の前の年に登録申請書を提出する必要がありますが、事業開始した年は12月31日までに登録申請を行えば良いこととなります。
そこで、前述のケースです。まず、インボイス登録を思い立ったのが8月だったとしても、今年にインボイス発行事業者になることができます。
ここで、問題となるのは、いつからインボイス発行事業者となるか、ということです。
開業準備行為で多額の支出があるため、どうせインボイス発行事業者になるのなら、開業準備行為を含めた期間もインボイス発行事業者になって還付を受けたいものです。
果たして、開業届に記載した開業日よりも前の期間をインボイス発行事業者として登録できるのかどうか…。
- 令70条の4
- 登録を受けようとする事業者が、事業を開始した日の属する課税期間その他の財務省令で定める課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した…申請書を当該課税期間の末日までに提出した場合において…当該課税期間の初日から登録を受けたものとみなす。
- 則26条の4
- …一 事業者…が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間
とあります。課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日は、開業準備行為も含まれるとの解釈が一般的なため、消費税上の事業開始は、開業準備行為を行った2月ということになります。
それでは、登録希望日は2月が良いでしょうか?
インボイス発行事業者をもうやめたい(クリック)
↑こちらの記事が繋がってくると思います。個人事業主の場合、1月1日~インボイス発行事業者とした方が良い場合があると思います。
というのも、2年間はインボイス発行事業者でないといけないので、もしも1年の途中でインボイス発行事業者となった場合には、原則として2年間+αヵ月がインボイス発行事業者の拘束期間となるからです。
そうすると、登録申請書2ページ目の登録希望日には1月1日と書くのかどうか…。実はこれ、書かなくて良いようです。
登録申請書の書き方 フローチャート(クリック)
国税のホームページに物凄くわかりやすいフローチャートが載っていました。該当の部分をクリックすると、登録申請書の書き方が細かく載っています。
個人事業主の課税期間は、1月1日~12月31日です。そのため、1月1日からインボイス発行事業者になる場合には、1ページ目の「事業を開始した課税期間の初日から登録を受けようとする事業者」とし、課税期間の初日は「1月1日」とします。
もしも、開業年に登録申請をして、通常の課税期間のままインボイス発行事業者となるのであれば、2ページ目の登録希望日を記載するA欄の部分は全く記載しなくて良いようになっています。
もしも、1月1日ではない日が良ければ、2ページ目のA欄の登録希望日を記載することとなっています。