所得税の住宅ローン控除は、たくさんの人に住宅を買ってもらって景気を刺激することを目的として設けられた制度なので、景気の動向に応じて改正が頻繁にされています。
住宅ローン控除額は税額から控除されます。所得金額に税率をかけた後の税額からローンの年末残高に控除率をかけた金額が控除されるため、税務的なメリットが非常に大きい税制です。
住民税での住宅ローン控除の考え方
住宅ローン控除は、所得税だけではなく住民税にも関係があります。
令和3年度までは、所得税で税額控除をできなかった住宅ローン控除額については、以下の控除限度額まで住民税から控除できました。
本来、住民税は政策的な税制は敷かない傾向であるため、この住宅ローン控除の税額控除は、かなり例外的な取扱いとなっていると考えられます。
これは、平成18年度改正で「三位一体の改革」のひとつとして、所得税から個人住民税に税源移譲があったことで、個人住民税が一律10%となり、所得税の累進税率のバンドがなだらかになり、かつ、広がったことに起因しています。
中低所得者層の所得税が減り、住民税が増えることとなるため、もしも住民税に住宅ローン控除がなかったとすると、所得税額全額について住宅ローン控除をして所得税の負担額がゼロであったとしても、住民税が以前よりも増えることとなり、税金の負担が増えることがあることが問題となりました。
そこで、所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除額を、一定の限度の下、住民税から控除できる制度とし、現在に至っています。
課税所得が195万円以下については、所得税の税率が10%から5%に引き下げられ、住民税の税率が5%から10%に引き上げられたため、限度額の上限として195万円×5%=97.5万円が設定されています。
一方、特定取得と特別特定取得は消費税率が上がったときに、増税感を緩和する目的で7%に設定され、195万円×7%=13.65万円を限度額の上限としています。
住民税の限度額はどうなるか
所得税では、令和4年度居住分より、住宅ローン控除のメリットが縮小していますが、住民税の限度額はどうなるのでしょうか。
消費税が8%へ上がったときの反動減対策の期限が入居日令和3年12月末となっていたことから見直しが行われました。
結果的に、消費税の反動減対策はもういいだろうとなり、令和4年以降居住分については、一律、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)が控除限度額となりました。