会計・税務をあなたの手に。
izawa-tax.com

適格請求書発行事業者公表サイトに屋号や旧姓を開示したい場合の取扱いについて
最終更新日:2021年09月28日

いよいよ、2021年10月1日から適格請求書発行事業者の登録申請が始まります。

消費税の納税義務を負っていない事業者にとってみると、このインボイス制度に乗るかどうか…というのは、判断に迷うところかもしれません。ここでは、詳細を割愛しますが、インボイス制度に乗るかどうかの判断のポイントとしては、ご自身がどのような商流の中にいるのかどうか、ということを考えるのがよろしいかと思います。

つまり、場合によっては、インボイス制度に乗る必要もない、と考えています。インボイス制度に乗るかどうか迷われている場合には、2023年初めくらいまでに、国税庁の説明会に参加することや、税理士に相談することをお勧めいたします。

さて、今回のお話しは、「適格請求書発行事業者公表サイトに屋号や旧姓を開示したい場合の取扱い」についてです。

インボイス制度に乗っかる場合には、適格請求書発行事業者になる必要があります。適格請求書発行事業者になるには、税務署に登録申請をします。(e-taxでの申請可能)

登録が終わると、税務署から「登録番号」が通知され、この登録番号をインボイスに記載することとなります。

インボイス制度では、誰が適格請求書発行事業者かどうか、ということが、非常に重要なこととなってきます。

そのため、適格請求書発行事業者の情報については、国税庁のホームページ「適格請求書発行事業者公表サイト」で公開されます。

公開される情報ですが、

  • ①氏名又は名称及び登録番号
  • ②登録年月日
  • ③法人(人格のない社団等を除く。)にあつては,本店又は主たる事務所の所在地
  • ④法第57条の2第5項第1号に規定する特定国外事業者以外の国外事業者にあつては,国内において行う資産の譲渡等に係る事務所,事業所その他これらに準ずるものの所在地

とあります。(新消費税法第57条の2第4項、令第70項の5)

公開される情報は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」に基づいて公開されるはずなので、登録申請書を書いてみようと思います。

個人の場合…

住所…、納税地…、氏名…、

…ん?となりませんか?そう…。屋号がない。

もう一度、公表される情報に戻ってみてみると、個人の場合…、「①氏名及び登録番号」「②登録年月日」…そう。屋号がない。(ほかにも、事業所の住所もない。)

これ、どうするのか疑問に思ったまま、長い間放置していた問題の1つなのですが、最近、解決されたようです。

『消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A』問2、問20に、公開される情報として、登録申請書の内容に基づくものの他に、「本人の申し出に基づき追加で公表できる事項」が追加されています。

Q&Aによりますと、追加で公表できる事項は、以下のものです。

  • ①個人事業者の「主たる屋号」、「主たる事務所の所在地等」
  • ②人格のない社団等の「本店又は主たる事務所の所在地」

どうやって公表したい旨を税務署に伝えるか。それは、登録申請書の他に「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を、税務署に提出します。

【申出により追加で公表できる事項】

  • (個人事業者)
  • ①主たる屋号
  • ②主たる事務所の所在地等
  • ③通称又は旧姓(旧氏)氏名←氏名に代えて公開か、氏名に併記して公開かを選べる。
  • (人格のない社団等)
  • □本店又は主たる事務所の所在地

なお、「通称又は旧姓(旧氏)」ですが、公表をしたい場合には住民票も併せて提出する必要があります。(e-taxの場合は不要)つまり、通称や旧姓を使う場合には、住民票に併記されている必要があります。

そのため、通称や旧姓(旧氏)を住民票に併記していない場合で、通称又は旧姓(旧氏)を氏名として公開したい場合には、役所で住民票・マイナンバーカードへ併記する手続も必要になります。

話しが若干逸れますが、以前、通称・旧姓については、パスポートにどう記載するか?という問題がありました。パスポートに通称・旧姓を記載するためには、その名前での外国活動の実績を証明する必要があり、また、パスポートに通称・旧姓が記載されたとしてもカッコ書きで記載されるため、海外で、そのカッコ書きが何を示すのか説明が必要となる、という問題もありました。

こちらの問題ですが、2021年4月1日の申請分からパスポートへの併記に海外での活動実績の証明はいらなくなり、代わりに、通称や旧氏が併記された住民票やマイナンバーカードの提示によりパスポートに併記ができるようになっています。また、カッコ書きの意味を示すための「Former Surename」や「Alternative Surename」と記載されるため、海外でもスムーズに名前の意味を伝えられることとなりました。

インボイス制度のお話に戻りますが、総括すると以下のようになります。

個人事業者が、インボイス制度の適格請求書発行事業者の登録申請の際には、その後の適格請求書発行事業者公表サイトでの情報公開についても考えた方が良いと思います。

登録申請書と一緒に「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出することで、事業所の場所・屋号・通称・旧姓(旧氏)についての情報公開がスムーズにできます。(登録申請の後に申出書を提出することも可能です。)

特に、通称・旧姓(旧氏)でご活躍されている方については、公表される「氏名」を、通称・旧姓(旧氏)で公開したい場合や併記したい場合には、住民票やマイナンバーカードへ通称・旧氏の併記が必要ですので、その手続きについても考える必要があります。

TOP