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生命保険契約照会制度
最終更新日:2021年07月08日

2021年7月1日から、生命保険協会の生命保険契約照会制度が始まりました。

保険は、保険会社に保険金の請求を行わないと、保険金の受取ができません。

そのため、もしも契約者が死亡した場合や契約者の認知判断能力が低下した場合、他の家族が保険契約の存在に気付かない時には、保険料が支払われていたにもかかわらず、保険金の請求が行われないことも想定されます。

東日本大震災の時には、生命保険協会や日本損害保険協会が、被災者の保険契約を照会するための制度を立ち上げましたが、今般始まった生命保険契約照会制度は、この災害時の取扱いを平時にも拡大したものです。

生命保険契約照会制度は、契約者の高齢化や認知症患者の増加に対応して設けられた制度で、死亡した場合や認知判断能力の低下した場合に、家族等が生命保険協会に照会を行って生命保険契約の有無についての回答を得ることで、保険金等の確実な支払いを確保することを目的としています。

例えば、相続の場合、被相続人が様々な生命保険に加入していることは分かっているけれども、保険証券や契約内容の確認書類等が保管されておらず、入出金の状況を見るだけでは保険料の払込みの状況がわからない場合があるかもしれません。

そういった場合に使える制度なのかもしれませんので、今回は生命保険契約照会制度を取り上げたいと思います。

生命保険協会の生命保険契約照会制度のホームページはこちら↓です。

生命保険協会 生命保険契約照会制度のご案内 | 生命保険協会 (seiho.or.jp)

全般的なお話

生命保険契約照会制度で確認できる保険契約の範囲に留意が必要です。

  • □照会結果は生命保険契約の有無と保険金を請求できるかどうかのみ
  • □生命保険協会に加入している会員会社
  • □照会ができるケース
  • □照会の対象外となる保険契約

※いずれも、2021年7月8日現在の生命保険協会のホームページと生命保険契約照会制度利用規約(2021年7月1日から効力を有するもの)を参考にしています。

照会は生命保険契約の有無と保険金を請求できるかどうかのみ

生命保険協会で照会できることは、照会対象者(照会された人)が契約者または被保険者となっている生命保険契約があるかどうかということと、照会者が保険金等を請求することが可能であると判断される契約である時にはその旨だけです。

生命保険協会では、生命保険契約の種類の調査や保険金等の請求の代行は行いませんので留意が必要です。

照会者(照会した人)は、生命保険協会からの回答を得て、生命保険会社に保険金等の請求を行う流れになります。

■生命保険協会に加入している会員会社

生命保険協会には日本で営業する生命保険会社全社が加盟しています。共済は別組織なので、生命保険協会の生命保険契約照会制度の対象にはなりません。

照会ができるケース

  • ①平時
  •  ・死亡した場合
  •  ・認知判断能力の低下した場合
  • ②災害時
  •  ・死亡もしくは行方不明の場合

なお、②の災害時とは、「災害救助法が適用された地域において被災し、家屋等の流失または消失等により生命保険契約に関する請求が困難な場合」となっていますので、留意が必要です。

照会の対象とならない保険契約

次の保険契約は照会の対象となっていないので、留意が必要です。

  • □財形保険契約および財形年金保険契約
  • □支払いが開始した年金保険契約
  • □保険金等が据え置きとなっている保険契約

死亡の場合の生命保険契約の照会

平時の取扱いのうち、死亡の場合を取り上げます。(認知判断能力の低下した場合については生命保険協会のホームページをご覧ください。)

生命保険協会に照会できる人

照会対象者(照会される人)が死亡している場合、照会者(照会する人)となれるのは、以下の人たちです。

  • □照会対象者の法定相続人
  • □照会対象者の法定相続人の法定代理人または任意代理人
  • □照会対象者の遺言執行人
  • ※「任意代理人」の範囲は、弁護士、司法書士その他照会対象者の財産管理を適切に行うために照会対象者にかかる生命保険契約の有無を照会するにふさわしいと生命保険協会が認めた者

もしも、法定相続情報一覧図の作成を専門家に依頼するのであれば、その際に生命保険の照会も依頼するのが効率的かもしれません。

また、保険契約はあるものの、必ずしもその照会者が請求できるとは限らないため、1名の照会対象者に対して複数の照会者の照会をすることができます。照会者の数は10名を上限(弁護士、司法書士等、親族以外の代理人が照会手続きを行う場合には、照会者の数は9名を上限)としています。

また、複数の照会者をまとめて(委任が必要です。)照会代表者が照会をすることもできます。

照会の方法

インターネット又は郵送です。インターネットの場合には、回答がマイページに表示されます。郵送の場合には、回答が郵送で行われます。

照会申請に必要な書類

照会申請に必要な書類は、生命保険協会のホームページをご覧になっていただきたいのですが、法定相続人については、基本的には照会者の本人確認書類、法定相続情報一覧図または相続人と被相続人の関係を示す戸籍等、死亡診断書が必要です(必要に応じて委任状も)。

災害時の生命保険契約の照会

災害時の場合には、平時とは異なる事態が想定されるため、以下のようになっています。

生命保険協会に照会できる人

  • □照会対象者の配偶者、親、子または兄弟姉妹
  • □照会対象者の配偶者、親、子または兄弟姉妹の法定代理人または任意代理人

照会の方法

電話により照会を依頼します。そして、照会結果は郵送です。

申請照会に必要な書類

申請書、必要書類等の提出は求められません。

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