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中古物件をローンで買ってリフォームする場合の税金のお話(住宅ローン控除、登録免許税、不動産取得税)
最終更新日:2022年11月27日

初回公開:2020年12月28日

考えていませんか?「中古物件をリフォームして住んでみようかな」とか、「古民家、いいね!」とか。何を隠そう、私もそうです。

前の住人たちの想い入れと相談しながら、自分の想いもその物件に吹き込んでいく作業は楽しいものですよね。

物件はローンで買う予定ですか?入居前にリフォームをする予定ですか?

中古物件をローンで購入してリフォームもするとなると、金融機関や不動産屋、リフォーム業者との間に調整に忙しくなると思いますが、それと同時に、税金を抑える方法を考えた方が良いかもしれません。

家を買うと一度にいろいろな出費があるものです。少しでも税金を抑えるお手伝いができたら良いと思い記事を書くことにいたしました。

なお、こちらの記事については、特別特例取得については考慮していません。

物件決めたらまず耐震

家を買った時には、住宅ローン控除が当たり前のように使えるイメージがありませんか?

実は、住宅ローン控除を受けるためには、さまざまな要件を一つずつクリアする必要があります。要件が細かいのは、新築の場合も中古の場合も一緒です。ただ、中古住宅に住宅ローン控除を適用する場合には、住宅の耐震性が重要になります。

国税庁のQ&Aに、中古住宅に住宅ローン控除を使う場合の要件がまとまっています。(今回のお話に関係のある要件のみを抜き出していますのでご注意ください。)

No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

  • 中古住宅に住宅ローン控除を受けるための条件の概要は以下です。
  • (1) 中古住宅の要件(いずれも満たす必要あり)
  • ① 建築後使用されたものであること。
  • ② 新耐震基準に適合していること。
  • a) 家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下であること。
  • b) 耐震基準に適合する建物であること。
  • c) 耐震工事をし、耐震証明がされたものであること
  • ※令和4年度の改正により、昭和57年1月1日以後に建築された中古住宅であれば、耐震基準を満たすものとみなされます。ただし、令和4年1月1日以後に居住の用に供する場合に限ります。
  • ③取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者などからの取得でないこと。
  • ④贈与による取得でないこと。
  • (2) 居住要件
  • □取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること
  • (3) 納税者要件
  • □この特別控除の適用を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下 2,000万円以下であること。
  • (4) 物件の使い方の要件
  • □取得した住宅の床面積が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。
  • (5) 住宅ローンの要件
  • □10年以上にわたり分割して返済する方法になっている中古住宅の取得のための一定の借入金又は債務(住宅とともに取得するその住宅の敷地の用に供される土地等の取得のための借入金等を含み

耐震性については、中古戸建てを買う場合、建築後20年(耐火建物であれば25年)経過しているかどうか?ということがまず第1のポイントになります。

もしも、建築後20年(耐火建物であれば25年)超経過している場合、耐震性を有するかかどうか?

耐震性については、まず、昭和57年1月1日以後に建築された中古住宅かどうかが問題となります。もしも、それよりも前の建築であり、耐震性が基準に満たなければ耐震工事をするか?という流れで判定していくものと考えられます。

耐震性の検査は、建築士に依頼します。そして、耐震基準が充たされている場合には、建築士に「耐震基準適合証明書」の発行を依頼します。

この「耐震基準適合証明書」が中古物件にまつわる税金(住宅ローン控除、登録免許税、不動産取得税)を安くしてくれます。物件の額によるかとは思いますが、その額、何十万単位で圧縮されることが多いと思います。

なお、中古物件取得前、2年の間に耐震調査を完了しておく必要がある点に留意が必要です。

建築士には、耐震以外の項目についても、インスペクションを依頼することもできます。もしも売主側でインスペクションをしていない物件であれば、耐震検査と一緒にインスペクションを依頼して、物件購入の判断をするのもいいかもしれません。

なお、住宅ローン控除の申請書類として、税務署に提出する必要がある書類は以下です。

  • □家屋の登記事項証明書(敷地についても適用を受ける場合には、敷地の登記事項証明書)
  • ⇒※「登記事項証明書」については、計算明細書への「不動産番号」の記載または「登記事項証明書」の写しの添付に代えることができるようになりました。
  • □売買契約書等で取得した年月日、床面積、売買代金の額を明らかにする書類(写し)
  • 建築後20年(鉄筋コンクリート造等は25年)を超える場合には、必要に応じて耐震基準適合証明書等

次は、住宅ローンの範囲

住宅ローンを組む金融機関によっては、住宅ローンと一緒にリフォーム分のローンも組める金融機関があります。

このリフォーム分のローンについても住宅ローン控除を受けられる場合があります。

中古物件を居住前に増改築した場合の住宅ローン控除の適用の要件についても、国税庁のQ&Aにまとまっています。

No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁 (nta.go.jp)

  • (1) 自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること。
  • (2) 次のいずれかの工事に該当するものであること。
  • ①増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
  • ②マンションなどの区分所有建物のうち、その人が区分所有する部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
  • ③家屋(マンションなどの区分所有建物にあっては、その人が区分所有する部分に限ります。)のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
  • ④建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事
  • ⑤一定のバリアフリー改修工事
  • ⑥一定の省エネ改修工事
  • (3) 増改築等の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
  • (4) この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3,000万円以下 2,000万円以下であること。
  • (5) 増改築等をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住用に供するものであること。
  • (6) その工事費用の額(その増改築等の費用に関し補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した額)が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。
  • (7) 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている増改築等のための一定の借入金又は債務があること。

中古物件のリフォームで工事費が100万円を超えるもの、といえば(2)②③⑤あたりのものが多いのではないでしょうか。

リフォーム分の借入についても住宅ローン控除を受ける場合、税務署に提出する書類が追加されます。

  • □大規模工事(2)①は、「建築確認証の写し」「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」
  • □それ以外は、「増改築等工事証明書」

「増改築等工事証明書」はリフォーム後に、建築士に検査・作成を依頼します。

もしも、住宅ローンにリフォーム費用を含んだけれども、「増改築等工事証明書」がない場合には、不動産価額のみに対して住宅ローン控除を受けることになります。

実際、中古物件の購入代金に加えて、リフォーム費用も借りようとすると、金融機関と工事請負業者との連携が必要になってきます。

ローンの契約をする前に工事請負業者からの見積書を見せてください、と言われるケースもあると思います。また、借入後何か月以内にリフォームが完了していることが条件です、と言われるケースもあると思います。ローン契約の時に工事請負契約書を持ってきてください、とも言われるかもしれません。

その場合、金融機関へローンの事前審査を申し込みつつ、リフォームの細かい内容を工事請負業者と打ち合わせて見積書を作っていただき、工事スケジュールを概ね確定する必要が出てきます。

まだ売主の持ち物である(又は、売買契約すら結んでいない)家に入り込んで、どこをリフォームするか決めるのは結構難しい作業です。もしかしたら、購入後にリフォームローンを組んだ方がいいとすら思うかもしれません。

しかしながら、ローンの条件(利率や返済期間等)、そして何よりも「住みやすさ」を考えると、ここが正念場なのかもしれません。

登録免許税の軽減税率

不動産売買契約→住宅ローン契約→住宅ローン実行・支払い・所有権移転となります。

住宅ローンの実行がされて、売主にお金を払うと、司法書士に登記をお願いします。

中古物件をローンで購入する場合には、所有権移転登記と抵当権設定登記が必要になります。登記の際に登録免許税を納付するのですが、今のところ、耐震証明が必要な物件については、「耐震基準適合証明書」を提出すると軽減税率が適用されます。(税制改正が頻繁にある部分ですのでお気をつけください)

不動産取得税の軽減措置

■特定の既存住宅の軽減措置■

中古住宅を個人が自己の居住の用に供するものとして床面積50㎡~240㎡のものを取得したときで、以下の要件を満たした場合には、不動産取得税の軽減措置を受けることができます。

  • ●昭和57年1月1日以降に建築されたもの
  • ●上記の日前に建築された住宅で「耐震基準適合証明書」を受けたもの
  • ●平成26年4月1日以後に取得した耐震基準に適合しない中古住宅で、次の要件を全て満たす場合
  • □住宅部分(居住用の付属屋を含む。)の床面積が50㎡以上240㎡以下
  • □取得した日から6月以内に耐震改修を行い、耐震基準に適合していることが証明されているもの。

耐震の要件が少し、住宅ローン控除や登録免許税と違います。

そして、要件を満たした場合には、固定資産税評価額から建築された年に応じて控除を受けることができます。

■住宅用土地の軽減措置■

中古の土地付き一戸建て住宅やマンションを購入し、上記の特定の既存住宅の軽減措置を受ける場合には、土地についても軽減措置を受けることができます。

なお、不動産取得税については、申告書の様式、提出期限、添付書類等は各都道府県の条例によって定められています。

茨城県はこちらのリンクをご覧ください。

茨城県県税事務所不動産取得税Q&A

  • (2020年12月現在)
  • □不動産取得後60日以内に「不動産取得申告(報告)書」を不動産所在地の市役所・町村役場または管轄の県税事務所に提出する。

こちらのリンクのQ&Aではわかりづらいですが、不動産取得税の減額の際に必要な書類は「不動産取得申告(報告)書」の裏に書いてあります。

  • □不動産取得申告(報告)書
  • □登記事項証明書(建物・土地)(コピーも可)
  • □(耐震基準適合証明書)
  • □不動産取得税減額(還付)申請書

「不動産取得申告(報告)書」「登記事項証明書」「耐震基準適合証明書」については、市役所・役場で提出し、そこから県税事務所に送付していただくことができます。これらの書類については、不動産取得後60日以内に提出する必要があります。

「不動産取得税減額(還付)申告書」は市役所・役場で受け取ってもらえないことがあります。不動産取得申告をする際に一緒に減額を申告したい場合には、市役所・役場を通さずに県税事務所に提出する方法がよいかもしれません。

なお、「不動産取得税減額(還付)申告書」については、不動産取得税の納付書(税額減額前)が届いた後に、県税事務所に「不動産取得税減額(還付)申告書」を送付すると、減額後の納付書が届きます。(県税事務所に申告書を送付する旨を電話すると、県税事務所に他の提出書類が届いているかどうか、という点も確認することができると思います。)

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