以前、↑こちらのお話をしました。
今回は、税理士が相続人の代理人として被相続人の閲覧申請をする場合、委任状が必要なのか?という点がクリアになりましたので、お話ししたいと思います。
運営指針の改正で、税理士が閲覧申請をする場合には、委任状の代わりに税務代理権限証書の提出で閲覧申請ができるようになりました。
いろいろなところで、その場合の税務代理権限証書の書き方を確認することができるようになり、納税者本人の閲覧申請は、かなりスムーズになったのではないでしょうか。
問題は、被相続人の閲覧請求をする場合。相続人全員の委任状はいるのか?税務権限代理証書で閲覧可能な場合、税務代理権限証書の書き方は?という問題があったと思います。
以前、お話を書いてから数回、2つの税務署で被相続人の閲覧請求をしてみました。
結果としては、相続人の委任状は必要なく、相続人それぞれについて税務代理権限証書を持っていくと、閲覧請求ができました。
必要な書類は、次のとおりです。
- □申告書等閲覧申請書
- □税務代理権限証書(相続人全員分)
- □相続関係証明書類(戸籍謄(抄)本又は法定相続情報一覧図の写し(申請日前30日以内に発行されたものに限る。))
税務代理権限証書の委任状欄には、↓このように記載しました。
- 被相続人の確定申告書等の閲覧請求(写真撮影を希望する)
また、今日、税務署の方が気にしていた部分で、ハッとしたことがありました。
被相続人の税務署とは住所地の管轄が違う相続人がいたので、その人の分は管轄が違うと思い込んでしまい、税務代理権限証書を渡しませんでした。
税務署の方が色々確認してくださったのですが、運営指針には
- (注)税理士…については、令和6年4月1日以降に提出された税務代理権限証書に申告書等の閲覧に係る委任事項が記載されている場合には、委任状及び印鑑証明書の提出は不要であることに留意する。
と、書いてあるのですが、
- (注3)死亡した個人が生前に提出した申告書等についての代理人からの閲覧申請は、相続人全員の委任状及び印鑑証明、死亡した個人と相続人全員の親族関係が把握できる相続関係証明書類の添付がある限り、当該申請書を閲覧に供する。…
とあるので、委任状及び印鑑証明の代用として税務代理権限証書を使うのであれば、相続人全員分が必要ということです。
確かに、その通りなんですよね…。これだけ運営指針きちんと読んでいるつもりでも、抜けるものですね。
あと、色々なところで閲覧請求をしていて思うのですが、閲覧請求も結構限界があるかな…と。
今のところ、相続税については全案件について、閲覧請求を行っているのですが、いずれも近郊の方が多いので、研修で教わったとおり、税務署までいって閲覧請求をするのがいいかな、と思っていました。
ところが、よくよく考えてみると、過去10年間に被相続人が相続人だった相続税の確定申告書の閲覧請求は、所轄税務署が遠方だと、少し難しくなります。また、相続人の閲覧申請についても色々なところに住んでいる場合には、これも閲覧請求は無理かな…と思います。
やはり、基本的には、相続人が把握している範囲のことをベースにして、閲覧請求するしかないのかな、と。過去に相続時精算課税をした覚えはあるけれども、申告書をお持ちでないパターンとか、今回の相続財産の源流をたどってみると過去の相続が関係していて相続税の申告書を提出しているかもしれないというパターンや、被相続人が誰にも言わずに所得税の確定申告をしていたパターンは有効な気はするのですが、いずれにせよ、相続人へのヒアリングが欠かせないと思いました。